2023.11.02
column

治具とは?種類や使い方についてご紹介

治具について

製造業に関わっていない方は、「治具(じぐ)」と言われても聞き慣れないワードかと思います。
治具は用途によって形や大きさなど、種類もさまざまです。
本記事では、治具とは何か、治具の種類や使い方についてご紹介していきます。

会社パンフダウンロード

 

治具(じぐ)とは?

治具とは、加工物(ワーク)を固定して、位置決めをしたり、加工しやすく(加工を案内してくれる)したりする補助工具のことを指します。
加工物が曲がっているような曲面状のワークの場合、まっすぐに操作しているつもりでも、ズレが発生したり、斜めに穴をあけてしまうことがあります。
そういった加工を行う際に、治具を使用することで、安定した状態で加工することができ、品質の安定や生産性の向上に繋げることができます。
補助の役割を持つ治具ですが、加工物や加工内容に合わせてひとつひとつ作られることが大半です。

治具(治工具)と工具の違い

加工をしやすくするための補助の役割を持つ治具は、「治工具」とも呼ばれることもあります。
治工具には「工具」という言葉が含まれていますが、工具とは異なります。
まず、工具は切削や研削などといった加工を直接行うために用いられ、加工に必須な道具であると言えます。
一方で治具(治工具)はクランプのように、加工をサポートするための道具であり、無くても加工すること自体は可能です。
工具は加工を直接行う道具、治具(治工具)は加工を補助する道具と覚えておくと良いでしょう。

治具製作の流れ

使用する箇所や用途にもよるため、治具の仕様は様々であることから、治具製作では設計が大切であると言えるでしょう。
治具製作の流れとしては以下の通りです。
● ヒアリング
● 見積作成
● 設計
● 加工・製作

流れについては別の記事でも解説していますので、こちらも併せてご覧ください。
治具を設計する際の流れとは?全工程を解説!

 

治具を用いるメリット

治具を用いることで得られるメリットについてご紹介します。

作業時間の削減

ロットが多いものに治具を用いて加工することで作業時間の削減につながります。
同じように加工を行う場合、穴あけ加工でもひとつひとつ測って中心位置を決めるものですが、治具を用意しておけば効率よく中心位置を決めることができるでしょう。

安定した品質

治具を用いることで品質の安定化が可能なことから、サービス全体の品質向上につながるメリットがあります。
治具を用いることで、毎回同じように加工物をセットすることができ、位置決めが容易になるだけではなく、加工物ごとの精度のばらつきも抑えることができます。

作業の簡易化

治具を使用することで難しい加工を簡易化することができたり、加工者の技術に頼りきらなくて済んだりなど、再現性を高められることメリットとして挙げられます。
また、再現性の高い作業が増えていくことで、加工者の育成コストなども抑えることができ、生産性が高まります。

人的ミスの削減

人的ミスを抑えることも治具を使用するメリットです。
先述しましたが、作業の簡易化により、加工者の技術に左右されないようになると、加工ミスなどによって発生する材料のロスを減らすことにもつながるでしょう。
治具を多く用意すれば、人の手で加工する必要も減るため、人的ミスの発生ポイントも少なくなります。

以上のように、治具には様々なメリットがあります。
ただし、治具の導入には費用も発生することから、ロットが少ないものに対しては不向きの場合もあるため、注意が必要です。

 

治具の種類

治具の種類
こちらでは、治具の種類をご紹介します。

切断治具

直角や決められた角度に材料を切断する際、刃物が傾いたりしないよう材料と刃物の位置を固定する治具。

曲げ治具

受け具の上にセットされた板金などを押し付け部で上から力を加えて曲げるための治具。受け具と押し付け部がセットになっているものが多い。

溶接治具

溶接を行う際に、材料を固定する治具。自動車などの量産製品ではロボットが溶接する場合があり、溶接箇所を固定できるようにする。

熱処理治具

熱処理を行う際にワークを固定する治具。反りや歪みが出ないようワーク形状に合わせた形状をしている。耐熱鋳鋼が使用されることが多い。

塗装治具

塗装時にワークを陳列させる治具。ワークを全方向から塗装できるよう、吊り下げるハンガー型になっていたり、回転型になっていたりする。

めっき治具

めっき液につける際、液体の中で製品同士がぶつかることがないよう固定する治具。

組立治具

製品を組み立てる際に、組立作業をスムーズに行うための固定治具。ネジ締めやカシメ治具などがある。

挿入治具

製品にパーツを挿入する際に使用する治具。作業者の手にかかる負担を軽減できる。

引抜治具

ベアリングの取り外しなど、内側に固定されているものを取り外す際に使用する治具。台座を固定し垂直に引き抜くことができる。

検査治具

製品を検査・測定する際に固定する治具。形状が複雑なものなど、測定する際にズレが発生しないよう固定する。測定治具とも呼ぶ。

圧入治具イメージ

 

治具の使い方・用途

治具はクランプのような一般的な工具とは異なり、加工物の位置を決めて治具上に固定することから精度を高めることができます。
固定後は穴あけやせん断といった加工をすることが多いですが、治具を使用する理由はさまざまで、加工だけではなく組み立てにも用いられます。
また、検査の精度を上げたり、測定をしやすくしたりするといった安定性や生産性の向上、省スペース化や作業効率の向上を図ることも可能です。

治具を使用する上で重要になるのが位置決めです。
重要なポイントや位置決めの方法については下記の記事でご紹介していますのでご覧ください。
治具の位置決めとは?重要なポイントや位置決めの方法をご紹介

 

おわりに

本記事では治具とは何か、治具の種類や使い方についてご紹介しました。
加工物を固定して位置決めや加工をしやすくするだけではなく、検査や測定の精度を上げたり、組み立てを補助したりすることにも使用されます。
治具はさまざまな業界や用途で使用されることから、大量生産はされずにひとつひとつ作られています。
自動化装置の導入は難しくても品質や安定性の向上を図りたい方は、治具の導入も検討されてはいかがでしょうか。

治具の設計・製作も「エージェンシーアシスト」にお任せください!

装置製作

エージェンシーアシストのマシナリーサービスでは治具の設計・製作も対応可能です。
また、オーダーメイド装置も設計から組付けまで一式対応します!
構想段階からでも構いませんので、お気軽にご相談ください。

おすすめの記事

  • column
    2022.08.04
    治具の位置決めとは?重要なポイントや位置決めの方法をご紹介
  • column
    2022.05.26
    治具を設計する際の流れとは?全工程を解説!
  • column
    2022.04.06
    塑性加工とは?加工の種類についてもご紹介
詳細について、お気軽にお問い合せください
bigArrow
mail
お問い合せはこちら
arrow
お問い合わせボタン
お役立ちBOOKダウンロードはこちら