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2020.03.16
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ステンレスの基礎知識│なぜ錆びない?なぜ磁石に引っ付かない?

ステンレスのイメージ画像

身の回りにはスプーンやフォークなどの食器や家電製品、また携帯電話やパソコン、自動車などあらゆる用途でステンレスが多く用いられています。
一般的にステンレスの特徴といえば、「錆びない」「磁石に引っ付かない」と知られていますが、ステンレスの種類や使用条件によって異なるため、一概には言えません。

今回の記事では、身近な金属 ステンレスの特徴をご紹介します。

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ステンレスとは

そもそも、ステンレスとはどういったものなのでしょうか。

ステンレスは、英語で「Stainless Steel/汚れ(錆び)ない 鉄鋼」と表記されるように、すぐに錆びてしまう鉄に代わる金属として発明されました。

ステンレスは耐食性や強度を向上させるために、主成分である鉄(Fe)にクロム(Cr)やニッケル(Ni)を混ぜることで作られる「合金」にあたります。紀元前から存在する鉄などに比べて、ステンレスの歴史は浅く、発明されてから100年ほどしか経っていない新しい金属です。

JIS規格をはじめ、金属を扱う業界ではステンレス鋼を「SUS(Steel special Use Stainless)」と明記します。

 

ステンレスはなぜ錆びにくいのか

鉄が「錆びる(腐食する)」という現象は、酸素が鉄と結び付いて「酸化鉄」が発生することで起こります。

ステンレスは、鉄にクロムを混ぜることで、表面に不動態皮膜と呼ばれる膜を形成します。
クロムは鉄よりも酸素に結び付きやすい特性から、鉄が酸化するよりも先にクロムが酸化し、酸化皮膜となって表面を覆います。
傷がついてもすぐに再生するこの膜のおかげで、錆の発生を防ぎます。
この膜は、1ナノメートルと極めて薄く、無色透明であるため肉眼では確認できません。

ステンレスの不動態皮膜の説明

しかし、ステンレスが必ずしも錆びないというわけではありません。メンテナンスを怠っていたり、鉄などのほかの金属が付着したりすることで、そこから錆が発生することがあります。

 

ステンレスはなぜ磁石に引っ付きにくいのか

一般的に「ステンレスには磁石に引っ付かない(磁性がない)」と知られています。
そもそも、なぜ「ステンレスには磁石が引っ付かない」かというと、鉄にクロムを混ぜてステンレスを製造する際に、より錆びにくくするために加えるニッケルが関係しています。
このニッケルを含ませると磁性がなくなり、磁石に引っ付かなくなります。

このことから、ステンレス全てが磁石に引っ付かないということではなく、種類によって異なります。
大きく分けると、ニッケルを含むもの(SUS300系)と含まないもの(SUS400系)に分けられ、含むものは磁石が引っ付かず、含まないものは磁石が引っ付くということになります。
最もメジャーなステンレス鋼であるSUS304には、鉄(50%以上)に18%のクロム、8%のニッケルを含んでいるため、磁石に引っ付きません。

※ただしSUS300系でも、加工による組織の変化や各物質の含有量の大小によって磁性を帯びるものもあります。

ステンレスが磁石に引っ付かない仕組み

 

ステンレスの特徴

ステンレスの主な特徴をまとめました。

耐熱性や保温性に優れる

ステンレスは、熱伝導率が低く耐熱性や保温性に優れているため、水筒やポットの内壁に用いられることが多いです。反対に、放熱性に劣るため、熱を持ちやすいエンジンパーツなどにはステンレスが用いられることはまずなく、放熱性に優れるアルミが使用されます。

電気を通しにくい

ステンレスは、鉄や銅と比べて電気を通しにくい特性を持っているため、通電箇所に用いられることはまずありません。

加工がたいへん

ステンレスは難削材と言われています。熱伝導率が低いため、切削加工時には発生する熱が逃げにくく、工具刃先に負担がかかり、摩耗が進行します。
また、加工(応力)することで硬さが増す加工硬化性もあるため、工具寿命が短くなります。

 

ステンレスの種類と一般的性質

ステンレスの種類と性質をまとめました。

分類 系統 耐食性 機械的性質 焼入れ効果 磁性
オーステナイト系 300系(抜粋:SUS303、SUS304、SUS316) 無(一部除く)
フェライト系 400系(抜粋:SUS430)
マルテンサイト系 400系(抜粋:SUS403、SUS416)

 

まとめ

今回の記事では、身近な金属 ステンレスの特徴を詳しくご紹介しました。

錆びにくく、丈夫である特性を活かし、身の回りのものから工業製品まで、幅広く用いられているステンレスですが、実は、100%リサイクル可能な素材です。使用済みのステンレス製品も再利用できることから環境にやさしい金属ともいえるでしょう。

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