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公開日: 2021.07.12
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RoHS(ローズ)指令とは?REACHとの違いなど中の人が調べてみました

RoHSとは

※編集部注(2026年1月更新)

本記事は2021年7月に公開されたものです。 記事公開後の法改正に伴い、「鉛の適用除外期限(延長決定)」「今後の規制動向(PFASの台頭)」について、各項目の末尾に最新情報を追記しています。2026年現在の状況については追記部分をご参照ください。

製造業では知っていて当たり前?になりつつある、「ローズ指令」。
EU(欧州連合)における有害物質の規制・・・となんとなく知っている方も多いかと思います。
しかし、「詳しくは、わからない。」「リーチと何が違うの?」といった疑問も持っているかもしれません。(正直言うと私がそうでした)
日本企業が守らなければならないのか?一緒によく聞くREACHとの違いは?chemSHERPAとの関係は?
「中の人が調べてみた第2弾」ということで、RoHS指令についてイチから調べ、まとめてみました。

本コラムは私みたいな初心者の方向けに要点を抜粋してまとめています。少しでも読んでいただいた方の理解につながると嬉しいです。

 

RoHS(ローズ)指令とは

RoHS指令イメージ
RoHS(読み方:ローズ)指令とは、電気・電子機器に含まれる特定有害物質の使用を制限するEU(欧州連合)の規制です。

元々、欧州の多くの国では廃棄物の処理方法として、一般的に埋め立てまたは焼却が行われていました。有害物質とされる鉛などを含む電気・電子機器廃棄物も約90%が埋め立て・焼却されていることから、環境汚染や人体への悪影響が懸念されていました。
これを受けて、電気・電子機器廃棄物(Waste Electrical and Electronic Equipment:WEEE)の発生を抑制し、再利用やリサイクルを促進することを目的に2002年に公布・施行された「WEEE指令」と併せて特定有害物質の含有規制をする「RoHS指令(通称:RoHS1)」が2003年に公布され、2006年に施行されました。
そして、2011年には改正指令(通称:RoHS2)として大幅に内容が改正されたものが公布、2013年より現行版として施行されています。

RoHSという言葉は、「Restriction of the use of certain Hazardous Substances in electrical and electronic equipment」の略称です。(直訳すると、電気・電子機器に含まれる有害な物質の使用制限)

2026年現在のEU(欧州連合)加盟国一覧

2020年にイギリスが離脱し、2026年現在のEU加盟国は27か国です。
アイルランド/イタリア/エストニア/オーストリア/オランダ/キプロス/ギリシャ/クロアチア/スウェーデン/スペイン/スロバキア/スロベニア/チェコ/デンマーク/ドイツ(加盟時西ドイツ)/ハンガリー/フィンランド/フランス/ブルガリア/ベルギー/ポーランド/ポルトガル/マルタ/ラトビア/リトアニア/ルーマニア/ルクセンブルク

ちなみにEUといえば、共通通貨であるユーロ(€)ですが、EUに加盟する全ての国が導入しているわけではありません。

 

RoHS 10物質一覧

RoHS指令で規制対象となる有害物質一覧がこちらです。
最初に施行されたRoHS1では6物質が規制対象でしたが、2015年6月より新たに4つの規制物質(フタル酸系可塑剤)の追加が告知され、2021年7月現在、全10物質が規制対象となります。

RoHS指令 規制対象 有害物質一覧

規制対象物質 最大許容濃度(閾値) 主な用途
鉛(Pb) 0.1wt% (1000ppm) はんだ、合金成分、蓄電池
水銀(Hg) 0.1wt% (1000ppm) 蛍光灯、体温計
カドミウム(Ⅽd) 0.01wt% (100ppm) 顔料、めっき、蛍光材料、蓄電池
六価クロム(Cr6+) 0.1wt% (1000ppm) めっき、酸化剤
ポリ臭化ビフェニル(PBB) 0.1wt% (1000ppm) 自動車用塗料、難燃剤
ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE) 0.1wt% (1000ppm) 難燃剤
フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DEHP) 0.1wt% (1000ppm) 塩化ビニルの可塑剤、電線被覆、壁紙、ホース、塩化ビニル樹脂
フタル酸ブチルベンジル(BBP) 0.1wt% (1000ppm) ポリサルファイド系樹脂の可塑剤、建築用シーリング材、アクリル系塗料の可塑剤
フタル酸ジブチル(DBP) 0.1wt% (1000ppm) 可塑剤、接着剤、セロハン、塗料
フタル酸ジイソブチル(DIBP) 0.1wt% (1000ppm) 可塑剤

wt%(読み方:ウェイトパーセント)は製品の重量を基準とした含有率の単位で、0.1wt%は100gの製品に0.1g含まれていることを示します。
ppmは100万分のいくらかという割合を示す単位で、主に濃度を表すために用いられます。

規制対象である10物質は最大許容濃度が定められており、これを超える量を含む製品はEUでは製造・販売ができません。
蓄電池などに含まれるカドミウムにおいては、ほかの物質と比べても許容値が厳しいものになっています。カドミウムは亜鉛鉱石に含まれているため、亜鉛含有率が高い真鍮を取り扱う場合は注意が必要になります。

 

RoHS指令の対象製品カテゴリー

RoHS指令では、AC(交流)1000V、DC(直流)1500V以下の定格電圧を持ち、電流/電磁場を必要とする機能が1つ以上存在する全ての電気・電子機器が対象となります。(市場に流通するほぼ全ての電気・電子機器が対象となります。適用対象外の製品は、武器・兵器・軍需品、宇宙での使用を意図した機器といったものになります。)

RoHS指令の対象製品カテゴリー一覧

NO. 対象カテゴリー 製品例
1 大型家庭用電気機器 冷蔵庫、洗濯機、電気ストーブ、電子レンジ、調理器、空調機器など
2 小型家庭用電気機器 掃除機、アイロン、トースター、ヘアドライヤー、時計、計量器など
3 情報技術(IT)および電気通信装置 パソコン、プリンター、コピー機、電話など
4 民生用電子機器 ラジオ、テレビ、ビデオカメラ、オーディオアンプなど
5 照明装置 家庭用を除く蛍光灯式照明器具など
6 電気電子工具(大型の定置型工作機械を除く) ドリル、切削加工機(フライス盤、旋盤、ボール盤等)、溶接機器など
7 玩具、レジャーおよびスポーツ用品 レーシングカーセット、テレビゲーム、コイン式スロットマシンなど
8 医療用機器 放射線治療機器、透析装置、人工呼吸器など
9 監視および制御装置 煙検出器、加熱調節装置、制御盤など
10 自動販売機 ドリンク用自動販売機、現金支払機など
11 その他の電気電子機器 上記に含まれない電気・電子機器

RoHS2指令では対象製品へのCEマーキングが義務付けられています。
CEマークとは、EU域内で販売される製品がEUの基準に適合していることを示します。
CEマーク
https://ec.europa.eu/growth/single-market/ce-marking_en
CEマークがない電気・電子機器は、EUでは販売・取引ができません。

私たちの身近な電気・電子機器であるスマートフォンでもCEマークを確認できます。

iPhone認証マーク
iPhoneでは「設定>一般>法律に基づく情報および認証」で確認できます。(日本の技適マークやアメリカのFCCマークなど、世界各国の認証マークも並んでいます)

 

RoHSの適用除外について

RoHS指令には、規制対象物質が含まれていたとしても、用途によって適用除外になるものがあります。
これは、“技術的、化学的に代替不可なものを期限付き”で認めているもので、物質ごとに用途、使用量、有効期限が細かく定められています。有効期限を延長することもありますが、無期限除外は認められておらず、技術的、化学的に代替が可能になれば適用除外ではなくなる場合もあります。

鉛を含む金属材料

真鍮切削

RoHS指令で規制対象物質として鉛ですが、快削性などの金属の機械的性質を高めるために合金成分として金属に添加させた材料が一般的に流通しています。そのため、金属材料への添加物としての鉛はRoHS指令の適用除外とされ、用途と許容値が定められています。

・機械加工用の鋼材に合金成分として含まれる0.35wt%までの鉛 ⇒つまり鉄鋼材やステンレス鋼材など
・合金成分としてアルミニウムに含まれる0.4wt%までの鉛 ⇒つまりアルミ材など
・鉛含有量が4wt%以下の銅合金 ⇒つまり真鍮(黄銅)など

真鍮などの銅合金おいては、他の金属材料と比べても鉛の含有許容値が多いのが見て取れます。銅は電気伝導率が高く耐蝕性にも優れていることから、今なお多くの電気・電子機器に用いられています。
適用除外には有効期限があるため、鉛の含有を減らし、ビスマスやシリコンで代替させた、鉛フリーのはんだや鉛レスの銅合金も開発されていますが、まだ量産には適さないという理由で更新申請が行われています。再延長の可能性がありますが、拒否された場合は最短で2022年7月にも適用除外から外れることになります。

2026年1月追記:RoHS指令の全面改正(RoHS 3)の行方

長らく噂されていた「RoHS 3(全面改正)」の議論は、より上位の概念であるESPR(持続可能な製品のためのエコデザイン規則)等の議論に統合される形で停滞・変化しています。単に禁止物質を増やすだけでなく、特にEU市場では「リサイクルしやすさ」や「デジタル製品パスポート(DPP)」による情報開示が求められています。

2026年1月追記:適用除外の有効期限について

2021年当時は「鉛の適用除外が2022年に切れるかも」と心配されていましたが、その後、主要な適用除外用途(銅合金中の鉛など)は、除外有効期限が「2027年6月」とされました。 しかし、期限の1年半前である2025年末までに欧州・日本などの産業界が連携して更新申請が正式に提出されたため、欧州委員会が最終的な合否を出すまでの間は、2027年6月を過ぎても従来通り使用が可能(自動延長)となりました。

欧州委員会の審査は非常に遅く、数年かかるのが通例です。そのため、実質的には2027年で即座に切れるリスクは回避され、2028年〜2029年頃までは現状維持で使用できる可能性が極めて高くなりました。

直近での「2027年に突然部品調達が止まる」というリスクは回避されましたが、EUが目指す「鉛フリー化」の方針自体は変わっていないため、長期的視点での代替材料への転換検討は継続する必要があります。

 

RoHSとREACHの違い

RoHS指令と併せて耳にするREACH(読み方:リーチ)規則。どちらもEUにおける化学物質管理等に関する規制です。
RoHS指令が「特定有害物質を含んでいる電気・電子機器の規制」とすれば、REACH規則は「含んでいる化学物質の情報を登録し、開示できるようにする規則」といった違いがあります。
RoHSとREACHの違い

REACH規則とは

危険化学物質

REACH規則とは、人の健康と環境の保護、EUの化学産業の競争力と革新の強化を目的に、管理対象者がすべての化学物質に関してリスク評価を実施の上、欧州化学品庁(ECHA)へ登録することを義務化する規則です。
そのほかにも、サプライチェーンにおける有害物質情報の伝達、消費者の情報開示要求への対応も含まれています。

REACHという言葉は「Registration, Evaluation, Authorization and Restriction of Chemicals」の頭の文字をとった造語で、直訳すると「化学物質の登録、評価、認可および制限」となります。

REACHは、あくまでも含有化学物質の情報を管理し登録の義務を定めた規則であり、含有を禁止するものではありません。
ただし、2007年6月施行ののち、管理対象物質を段階的に拡大し、今後登録が予定されている化学物質は新規と既存を合わせて34,000種類に及ぶなど、より複雑化しています。
また、成形品においても、人体に悪影響がでる可能性がある有害物質である高懸念物質(SVHC)が含まれている場合は届出が必要です。高懸念物質も施行当初15物質だったものが現在は、211物質へと増加しています。

2026年1月追記:RoHS追加物質よりも「PFAS」に注意

2021年頃には「RoHS指令の規制物質が12物質に増える(TBBP-A、MCCPsの追加)」という議論がありましたが、 RoHSでの個別規制ではなく、REACH規則などによるより広範な規制(後述のPFAS規制など)でカバーする方向へ戦略が転換されたことにより、2024年末に欧州委員会は「RoHS指令への追加は見送る」という方針を固めました。従って、今のところRoHSの対象物質は「10物質のまま」です。

2021年以降、化学物質管理のトレンドは「個別の有害物質(RoHS)」から「永遠の化学物質(PFAS)の包括規制」へと大きくシフトしました。2023年1月にEUで「PFAS制限提案(ユニバーサル制限)」が提出されました。これは特定の物質だけでなく、1万種類以上のPFASをまとめて原則禁止にしようとする動きです。PFASはパッキン、コーティング剤、半導体部材など多様な分野で利用されてきたもので、 RoHS指令以上に製造業へのインパクトが大きいものとなります。
PFAS制限提案

※PFASファミリーとは

ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物の総称です。炭素とフッ素の結合を持つ人工化学物質群であり、この結合は非常に強力で分解されにくく、「永遠の化学物質」とも呼ばれています。

PFASの規制については、早ければ2026年から2027年頃に欧州委員会による最終決定が行われ、猶予期間を経て2020年代後半には、半導体や電子部品を含む多くの部材でPFASの使用が制限される見通しです。

日本でも2025年から多くのPFASが製造・輸入禁止になりました。ただ、PFASは製品中に知らないうちに含まれていることもあるため、今後はより丁寧に確認する必要があります。これからは「RoHS対応」だけでなく「PFASフリー」の視点も重要になります。

 

RoHSとREACHとchemSHERPA

これまでまとめてきたRoHSとREACHはEUにおける化学物質管理に関する規制ですが、日本企業にまったく関係ない話ではありません。
市場のグローバル化が進み、日本企業も製品を海外へ輸出することがあると思います。また、直接のメーカーでなくとも、部品を提供した企業側も含有化学物質情報の開示を求められる可能性もあります。
その際に、RoHS指令やREACH規則に反していると、罰金や全製品回収対応、またその市場での取引停止を受けることになり、関わった企業すべてが影響を受けます。

世界的に化学物質管理と情報提供が厳しくなっていく中、企業がその変化に対応できないと、輸入する側も輸出する側も大きなリスクを追うことになります。今後ますます化学物質の管理と情報提供ができる企業が取引先として選ばれていくようになります。

ただ、化学物質情報を管理するフォーマットが企業や国で異なったため、サプライヤー企業などの負担が大きくなったのも事実です。
そこで世界基準の共通するフォーマットを運用しようという動きがあります。

以前、「chemSHERPAってなに?」というコラムをまとめました。
⇒「chemSHERPA(ケムシェルパ)ってなに?中の人が調べてみました」
https://www.agency-assist.co.jp/column/969/

chemSHERPAは、製品に含まれる化学物質情報を管理するフォーマットのようなものです。
chemSHERPAでは、RoHS指令とREACH規則の対象物質だけではなく、自動車業界独自の化学物質規制であるGADSLなども包括して管理できるようにしています。そして、国際規格として運用できるように、現在推し進められています。

2026年1月追記:調査業務の変化

化学物質調査

2021年当時と比較して、化学物質調査の難易度は格段に上がっています。特に前述のPFAS規制案では、対象物質が膨大であるため、従来の「成分表を見るだけ」の確認では対応しきれないケースが増えています。そのため、サプライチェーン全体で共通のフォーマットであるchemSHERPA(ケムシェルパ)を活用した、正確な含有情報の伝達が以前にも増して重要になっています。chemSHERPAの管理対象リストもPFAS対応のため、2025年に大規模な更新が行われました。

今後、製造各社にとってのchemSHERPAへの対応能力は、グローバル企業を含む顧客企業から選ばれ続けるための「基礎体力」と見なされ始めており、複雑化・広範化するPFAS規制に対し、曖昧な回答はもはや許されない状況において、共通言語であるchemSHERPAを使いこなすことは、法令違反リスクのない「安全なサプライヤー」であることの証明となり、次期モデルの受注や取引継続を決定づける重要な要素となっています。

2026年1月追記:現状についての「ザックリまとめ」

今回の記事更新をザックリとまとめると、次の4点となります。

  • RoHSの鉛の適用除外は、“少なくとも2027年6月以降も有効のまま”
  • 更新申請済みのため当面は使用可能です。ただし、長期的視点での代替材料への転換検討は継続しましょう。
  • RoHSの物質が増えるという話は一旦見送りに
  • 個別の物質追加ではなく、より包括的な規制へ議論が移っています。
  • 化学物質規制の主役は“PFAS”へ
  • 日本は2025年に規制強化、EUも26~27年に包括的規制が開始見込みです。
  • chemSHERPAの重要性がますます増加
  • PFASを含む「含有化学物質の正確な情報伝達」を行うため、サプライチェーン全体での活用を一層求められるようなっていくものと思われます。

 

まとめ

以上、RoHS指令に関して簡単にですがまとめてみました。

製品に含まれる化学物質の管理は決して簡単なことではありません。しかし、食品業界で食品添加物が厳しく管理されているのと同じように、機械系製造業の世界においても「自社が関わっている製品に含まれる化学物質」を把握し、責任を持つことが求められる時代になっています。

また、「自社では、規制対象物質は取り扱うことがないから大丈夫」と思っていても、これらの物質を含む設備(例えば、数十年前に製造された、鉛やカドミウムが含まれる電池/発電装置を搭載しているものなど)で部品を生産している場合でも、何らかの拍子で物質が漏れだし部品に付着することで図らずも規制違反を犯すこともあり得ます。作るだけではなく、生産環境から見直しが必要かもしれませんね・・・!

わたくし中の人も今回RoHSとREACHの違いや、前回学習したchemSHERPAとの関係を理解することができました。

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