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公開日: 2025.07.02
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加工チャージとは?加工費の内訳やチャージ金額の考え方を解説

加工チャージとは?加工費の内訳やチャージ金額の考え方を解説

加工チャージとは、部品や材料の加工にかかる1時間あたりのコストを指し、製造業や加工業の費用を左右する要素です。見積の根拠や価格の妥当性を判断するためには、この加工チャージを正確に理解しておく必要があります。

当記事では、加工チャージの定義や種類、計算方法などを詳しく解説します。マンチャージとマシンチャージの考え方や、加工工数との関係を正しく把握することで、より適切な原価管理や見積作成が可能です。価格が適正かを判断するためにも、加工チャージの考え方を押さえておきましょう。

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1. 加工チャージとは?

加工チャージとは、材料や部品の加工にかかる1時間あたりのコストを指す金額です。加工費用の原価計算をするときに使われる数字であり、1時間あたりで表すことから「時間チャージ」や「アワーレート」と呼ばれる場合もあります。

加工費用は加工チャージをもとに算出されるため、加工チャージがいくらであるかを理解すると、加工費用が適切な金額であるかを判断しやすくなります。

1-1. 加工チャージの種類

加工チャージは、どのような費用の計算を目的としているかによって「原価チャージ」「見積チャージ」「実績チャージ」の3種類に分けられます。

・原価チャージ
原価チャージは、1時間あたりの製造コストです。直接製造費と間接製造費を合算した「製造原価」を、加工にかかる時間で除して算出します。例として製造原価が5万円であり、加工にかかる時間が20時間であれば、「5万円÷20時間=2,500円」が原価チャージです。

・見積チャージ(売値チャージ)
見積チャージは、見積金額の算出で用いる1時間あたりの見積単価です。製造原価に販売管理費と目標利益を加えて、加工にかかる時間で除算します。例として製造原価・販売管理費・目標利益の合計額が10万円、加工にかかる時間が20時間であれば、「10万円÷20時間=5,000円」が見積チャージです。見積チャージは目標利益を含んでいるため、金額の変動がある点が特徴です。「利益を減らしてでも受注数を増やしたい」という場合には金額を下げることもあります。

・実績チャージ
実績チャージは、最終的な1時間あたりの単価です。例として10万円で受注した加工依頼を16時間で終えた場合、「10万円÷16時間=6,250円」が実績チャージです。実績チャージが見積チャージを上回ると、加工業者は目標利益より多くの利益を得られます。一方、実績チャージが原価チャージを下回った場合は原価割れであり、加工業者にとって赤字となります。

 

2. 加工費用の内訳

部品の加工にはさまざまな費用が発生し、見積もりには各費用を合計した金額が加工費用として掲載されます。

以下では部品の加工で発生する基本的な費用を3つ挙げて、具体的にどのような費用を鑑みて加工費用が計算されているかを説明します。

2-1. 材料費

材料費は、対象物である加工部品に使われている素材の費用です。例として金属部品の素材には鉄鋼・アルミニウム・マグネシウム・チタンなどがあり、素材の種類によって材料費は異なります。

材料費は経済状況や社会情勢によって価格が変動しやすいことが特徴です。例として海外から輸入する素材の場合、為替レートが円安に進むと材料費が高騰します。

なお、材料費には素材の輸送費用などが含まれているため、まとめて素材を調達したほうがコストダウンにつながる場合もあります。

2‐2. 加工費

加工費は、部品の加工にかかる費用のことです。1時間あたりの設備費や人件費を表す「加工チャージ」と、加工を行う時間・人数を表す「加工工数」をもとに、下記の計算式で算出します。

●加工費の計算式
加工費=加工チャージ×加工工数

加工チャージは一般的に4,000円~が相場と言われているものの、導入している加工設備のコストなどによって変動します。

また、加工工数は加工業者によって大きく差が出る要素です。経験豊富な技術者が多い業者に依頼した場合は、工数を抑えられて加工費が安くなる可能性があります。

2‐3. 特殊加工費

特殊加工費は、表面処理(メッキ)・熱処理・塗装・研磨といった加工処理にかかる費用です。部品に特定の加工処理を施す場合に、特殊加工費が加算されます。

特殊加工費の金額は、同じ加工内容の場合はどの加工業者に依頼しても大きな差はありません。しかし、依頼する加工方法の違いによって金額差はあります。業者によってはそもそも加工処理に対応していなかったり、外注費が発生したりする可能性もあるので確認しましょう。

 

3. 加工チャージの考え方

加工費用を構成する費用の中でも、企業による差が大きい金額が「加工費」です。

以下では、加工費の計算で用いる「加工チャージ」と「加工工数」をどのように算出すればよいかを解説します。

3-1. 加工チャージ

加工チャージは加工にかかる1時間あたりのコストを指しており、マンチャージとマシンチャージの2つの側面から考える必要があります。

マンチャージは、作業者が作業に1時間従事するときのコストです。基本的に下記の計算式で算出します。

●マンチャージの計算式
マンチャージ=直接作業者の労務費の合計÷(直接作業者の勤務時間の合計×稼働率)

もう1つのマシンチャージは機械加工をする場合に、機械が1時間稼働するときのコストです。マシンチャージは稼働する工作機械ごとに算出する必要があり、下記の計算式を使用します。

●マシンチャージの計算式
マシンチャージ=機械の稼働コスト÷稼働時間

なお、機械の稼働コストにはランニングコストだけではなく、設備の初期費用や減価償却費も含める必要があります。

3‐2. 加工工数

加工工数とは、加工作業を完了させるためにかかる作業量のことです。基本的な工数計算は、下記の計算式で算出します。

●工数の計算式
工数=作業時間×作業人数

例として作業時間が10時間、作業人数が2人の場合、工数は「10時間×2人=20人時」です。

ただし加工工数の計算では作業時間・作業人数の他にも、加工に対するノウハウや作業者の経験の有無などが影響します。加工工数をなるべく少なく抑えるには、十分なノウハウや経験を有している加工業者を選ぶことが重要です。

 

4. 加工チャージを割り出す際の注意点

自社にとって適切な加工チャージの金額を割り出すためには、下記の点に注意する必要があります。

・定期的にチャージの見直しをする
加工チャージは常に一定というわけではなく、加工業者の企業規模や作業者を取り巻く労働環境の変化、生産性の改善などによって金額が変動します。過去に決めた加工チャージは定期的に見直しましょう。

例としてマシンチャージの計算で用いる「機械の稼働コスト」は、機械が減価償却中のときよりも、償却終了後のほうが安くなります。定期的なチャージの見直しは、加工チャージの金額を実態に沿わせるために必要です。

・自社のレベルに合わせてチャージを設定する
加工チャージの計算では、加工工程ごとや部署ごとにチャージを設定するなど、詳細な区分をしたほうが正確な原価計算が行えます。

しかし、詳細に区分をすると管理の手間が多くなり、加工作業の業務効率が低下するおそれがある点に注意してください。

また、性能が高い機械はマシンチャージも高くなりやすく、高精度の加工を依頼したくても性能が高い機械を使えないというケースも発生します。金額だけで判断せず、品質や生産スピードなど、自社の要求するレベルに合わせてチャージ設定をすることが大切です。

・相場だけでチャージを決めない
加工チャージの費用相場は4,000円~と言われています。

しかし、実際の加工費用はさまざまな要因により変動するため、相場だけでチャージを決めないようにしましょう。マンチャージとマシンチャージを分けて考え、それぞれをきちんと計算することで、適切な加工チャージを設定できます。

 

まとめ

加工チャージは、加工費用を構成する要素であり、適切なコスト管理には欠かせない指標です。加工チャージを算出する際には、マンチャージとマシンチャージを分けて考え、作業者や設備の稼働状況を考慮することが大切です。

加工チャージにはある程度相場がありますが、具体的な金額は加工会社によって異なります。加工チャージの算出方法を知り、見積もりが適正か見極めるようにしましょう。

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